A.お客様の情報(平成24年12月31日現在)
- 1.家族構成
- 山田 貴司 夫 昭和53年12月15日 34歳
山田 真紀 妻 昭和54年11月20日 33歳
山田 美咲 長女 平成21年 5月12日 3歳 - 2.現在の収入
- 夫…給与収入 (額面全額) 600万円/年
妻…なし - 3.今後の収入予定
- 夫の給与……定年(65歳)まで勤務
夫の退職金…定年時(65歳)2,000万円(税込み)の予定
公的年金……(夫)平成12年4月入社(厚生年金) (妻)第3号被保険者
満期保険金…平成39年に学資保険の満期金100万円 - 4.現在の支出(年間)
- 基本生活費…230万円
家賃…………114万円
保険料………(生命保険料)27万円 (損害保険料) 7万円
合計…………378万円 - 5.保有している金融商品(時価)
- 普通預金………350万円
定期預金………300万円
財形住宅貯蓄…150万円
外貨建てMMF…100万円
合計…900万円 - 6.加入している保険
- 生命保険はこちらをご覧ください。
損害保険…自動車保険 年間保険料7万円
B.ご相談内容 篠原ライフパートナーズ
- 1.新築住宅の購入にあたり、住宅ローンの組み方を教えてほしい。
- 平成25年に新築分譲マンションの購入(購入価格:3,000万円)を考えている。住宅ローンの組み方について教えてほしい。住宅ローンは60歳までには完済したい。なお、年間の維持費を30万円程度見積もっている。
- 2.保険を見直したい。
- 現在加入している保険の見直しを考えている。毎月の保険料をもう少し安くすることはできないだろうか。
保障内容は、なるべく今と同じくらい充実してほしい。 - 3.老後の生活資金を貯める計画を立てたい。
- 65歳の定年時までに、老後の生活資金として3,000万円以上準備しておきたい。もしもの場合は、妻が働いてもよいと考えている。
- 4.車の買い替え、海外旅行の計画があるのだが…。
- 8年毎に車の買い替え、5年毎に海外旅行(費用:50万円)を検討している。家計がマイナスになったりはしないか?
- 5.娘のために、結婚資金も用意したい。
- 娘の結婚資金として200万円を用意しておきたい。貯蓄的に大きな負担になったりしないだろうか?
- 6.娘の教育費用を考えたい。
- これから娘が成長していく上で、教育費がいくらくらいかかっていくのか教えてほしい。住宅ローンを払っていきながら、教育費を払っていく場合の毎年の家計バランスが心配…。
C.山田様の今後のライフイベント表(希望を含めた予定)
山田様の将来の予定・希望するイベントを、時系列で表にしたものが、ライフイベント表です。
各イベントに必要な資金は「現在価値」で示しております。なお年齢は、年末時点での年齢を表示しております。
山田様のライフイベント表はこちらをご覧ください。
D.山田家のキャッシュフロー表(ご提案前)
現在の状況、山田様のご希望を踏まえた上で、山田家の将来的な家計収支を予想しキャッシュフロー表を作成しました。
まずは、前提条件として、以下の点をご確認ください。
- 年齢は、年末時点の年齢で表示しております。
- 金融資産残高は、年0.5%の運用利率を見込んでいます。
- 現在の家計収支は、こちらを基に試算してあります。
- 将来的な収入と支出については、こちらを基に試算してあります。
- 住宅ローンの返済額は、次のような資金計画で見積もってあります。 →「住宅ローンの返済額」
また、今回は中学入学まで支給される「児童手当」、車の車検費用などは考慮しておりません。そのため、キャッシュ フロー表の数値が多少上下することがございます。ご了承ください。
E.キャッシュフロー表から予想される今後の問題点
キャッシュフロー表より、以下のような問題点が浮かび上がりました。
- 今後のキャッシュフローを予想したところ、65歳の退職時に3,000万円以上老後資金を準備することは今の状態だと厳しそうです。加えて、給与が予想通り上昇しなかった場合や、臨時の支出があった場合には、ご希望の金額を準備することがさらに難しくなってしまう場合がございます。特に60歳以上の給与の減額が議論されていることを考えますと、60歳以降のキャッシュフロー表が大きく変わってしまう可能性がありますので、より一層の備えが必要になることも考えられます。
- 各年間の収支に注目いたしますと、一時的な支出がある年や、美咲様が大学生になられる4年間などにマイナスになってしまうことがございます。
- 美咲様の教育費についてですが、高校まで公立の学校に進学するという前提で見積もっておりますが、中学や高校から私立に行くことになった場合は、教育費の負担が増えてしまいます。また、塾等に通うことになった場合なども、教育費の負担は増えてしまうでしょう。従って、結果的にキャッシュフロー全体に影響を及ぼしてしまいます。
F.問題点の解決と山田様のご要望を叶えるために
①新築住宅の購入にあたり、住宅ローンの組み方を教えてほしい。
先ほどのキャッシュフロー表の際にもご説明致しましたが、物件価格と購入諸費用の合わせて3,150万円のうち、750万円を自己資金とし、残りの2,400万円を住宅ローンとして借り入れることをお勧めいたします。
住宅ローンについてですが大きく分けて、「全期間固定金利型」、「固定金利選択型」、「変動率型」の3つがあります。それぞれにメリット、デメリットがありますが、今回は「全期間固定金利型」の住宅ローンを利用してシミュレーションを行っていきたいと思います。その理由ですが、今後金利が上昇する可能性があることや、返済額が終始一定であるため将来のライフプランニングが行いやすい利点があります。ライフプランにおいて、今後の返済額が安定していた方が、日常生活への影響が少なくてすむ点も評価できます。
「全期間固定金利型」の商品は「民間の全期間固定金利型のローン」や「フラット35」がありますが、「フラット35」をお勧めします。「フラット35(買取型)」は審査に時間がかかりますが、金利水準が比較的低く、返済条件の変更が無料でできることなどから山田様には適しているものといえます。ライフプランは常に正確に予測できるわけではありませんので、万が一プランに変更が生じた場合に安心して変更の相談ができるサポートが整っていることは非常に大切です。また、返済金額は一定で返済期間を25年に設定すれば、貴司様が60歳の時に住宅ローンが完済できます。
現在、「フラット35」の金利はおよそ2.21%です。今後物価の上昇が見込まれ金利も上昇していくと思われますので、この低金利で25年できるということは、非常に良いタイミングだと考えられます。
次に、住宅ローン控除についてご説明致します。住宅ローン控除とは、その年の年度末における住宅ローン残高の1%(最高20万円)が所得税額から控除されるというものです。また、認定長期優良住宅に該当する場合は住宅ローン控除の最高額は30万円となります。
②保険の見直しをしたい。
(1)貴司様の保険
まずは、貴司様の保険から説明させていただきます。マイホーム取得後の貴司様の死亡保障額は、必要保障額よりもかなり多くなるものと思われます。貴司様の必要保障額は、以下のように見積もることができます。
「死亡保障額の見積もり」の試算はこちらから
必要保障額 :1,650万円
現在の死亡保障額 :5,000万円
現在の保険プランの場合、死亡保障が手厚くなっている半面、貴司様に対する医療保障が全くないことが懸念されます。この問題を解決するために、まず死亡保障額を引き下げることで年間保険料の引き下げを考えてはいかがでしょうか。具体的には、必要保障額から考えて、死亡保障額を2,000万円まで下げても差支えないと思われます。死亡保障額2,000万円のコースですと、月額保険料は6,200円です。年間で考えますと、約11万円の保険料を減額できます。減額できた保険料の一部を、新しい医療保険の保険料に回されてはいかがでしょうか?お勧めする保険は以下のようなものです。また、万が一貴司様が就業不能状態になった場合の備えとして、就業不能保険への加入もお勧めいたします。
「お勧めする医療保険」と「お勧めする就業不能保険」はこちらから
新しい二つの保険料を合わせますと、月額およそ6,000円になります。年間にいたしますとおよそ7万円です。減額分を含めると、最終的に年間4万円の保険料節約になります。
(2)真紀様の保険
真紀様の保険についてですが、保障内容と月額保険料を相応して考えますと、今の虎ノ門共済の総合保障タイプでよろしいかと思います。あえて見直す必要はないでしょう。
(3)美咲様の保険
美咲様の学資保険についてですが、満期保険金100万円ということですがあまり必要ないと思います。その理由ですが、貴司様と真紀様の死亡保障がしっかりと準備されていること、ローリスクですがリターンも少ないことが挙げられます。今回の保険の場合、払込保険料総額が96万円なのに対し満期保険金は100万円と4万円がリターンにあたります。
また学資保険は、計画的に教育資金を準備できるというメリットを持っていますが、契約時に満期時にもらえる満期保険金の額が確定しているため、物価の上昇や教育費が増加してしまった場合保険ではカバーできなくなってしまう可能性もあります。4万円のリターンで物価の上昇や教育費の増加に対応できるかどうかが問題となってしまいます。
これらのことより、学資保険を解約し年間6万円を貯蓄にまわし、何らかの方法で運用を行っていった方がよろしいかと思います。今回は教育資金の運用なので、安全性の高い金融商品での運用が良いと思われます。具体的に申しますと,国内の公社債を中心に運用している投資信託や、日本国債,外貨建てMMFなどがございます。長期の視点で運用していくことをお勧めいたします。
(4)自動車保険
現在自動車保険に年間7万円を払っておられますが、フルカバータイプの場合でも年間5万円に抑えることができます。従いまして、自動車保険において、年間2万円の節約ができます。
まとめますと、保険の見直しを行うことによって、合計年間12万円の保険料節約になります。
③、④、⑤老後の生活資金等
年間収支においてマイナスになる年度が何年かあり、特に平成44年に貯蓄残高までマイナスになってしまいます。
また、美咲様が私立の中学校や高校に進学する可能性があることを考慮すると、もう少し家計収支にゆとりがあると良いと思われます。また、貴司様が65歳の時に準備できる資金が3,000万円前後という、希望額ぎりぎりなので少し懸念されます。
解決策と致しましては、2つの方法が考えられます。1つ目として、一回あたりの車の買い替え費用を減らす、海外旅行費用を減らすという支出の削減を図るというものです。一回あたりの車の買い替え費用を150万円、海外旅行費を30万円にすると少し余裕ができるかと思います。2つ目の方法と致しましては、真紀様にパートをしていただくというものです。美咲様が中学校、高校に通われる間に週に3日、一日4時間程度のパート勤務をされてはいかがでしょうか?これにより、年間60万円程度のパート収入を見込むことができます。ちなみに、パート収入にかかる税金ですが、年間収入103万円以下の場合は、税金はかからず扶養控除の対象のままでいることができます。今回は、2つの解決策それぞれにおいて、キャッシュフロー表を作成しました。美咲様に対する結婚資金援助を行った場合でも、2つの解決策ともに3,000万円以上の老後資金を準備することができます。
※金融資産のポートフォリオ変更
現在保有されている金融資産の一部を、他の金融商品に変更することでより効率よく、分散して資産運用できるようにされてはいかがでしょうか?具体的には、現在保有されている財形住宅貯蓄を投資信託や株などの金融商品に変更するというものです。今回は、住宅ローンを「フラット35」をご提案させていただいたので、財形住宅貯蓄を利用することはありません。従って、他の金融商品で効率よく運用したほうがよいと思われます。
G.問題点の解決と山田様のご要望を叶えるために
以上のご提案を実行に移した場合に予想されるキャッシュフロー表を、以降に示しました。今回は2パターンのキャッシュフロー表をご用意致しました。
- (1)一時的な支出を削減する場合
- 以下の内容を反映させております。
A)保険の見直しにより年間12万円の保険料節約(平成26年より適用)
B)一回あたりの車の買い替え費用を150万円に。
C)一回あたりの海外旅行費用を30万円に。
今回のご提案で、変更が数値に色をつけておきました。年間収支がマイナスになるところはまだございますが、貯蓄残高がマイナスになることは改善されました、また、貴司様が65歳の時に、老後資金として3,500万円以上を用意することができるようになっています。
- (2)真紀様が働かれた場合
- 以下の内容を反映させております。
A)保険の見直しにより年間12万円の保険料節約(平成26年より適用)
B)真紀様のパート収入:年間60万円(平成34年から6年間)
(1)の提案と同様、貯蓄残高がマイナスになることは改善されました。また、貴司様が65歳の時に、老後資金として3,500万円以上を用意することができるようになっています。
2つのキャッシュフロー表から、(1)と(2)は同等の効果があることがわかります。山田様のお好みでお選びください。また、(1)と(2)を組み合わせることで、さらなる老後への資金を確保することもできます。ご希望であれば、(1)と(2)を組み合わせたキャッシュフローも作らさせていただきます。お申し付けください。
H.最後に
最後になりましたが、ご参考までにご提案前とご提案後の金融資産残高の推移を比較したグラフを載せておきました。是非ご覧下さい。
金融資産残高の推移
このプランをお読みいただきますと、今後の状況と問題点についてはかなり把握していただけるのではいかと思います。今回は、“老後の資金をいかに充実させるか”をテーマにプランニングを行いました。マイホームを購入に関しても、ローンの負担をうまく分散させ、なるべく日々の生活に影響がないよう考慮しました。また、保険についても、できるだけ保険料を抑え、なおかつ充実した保障がうけられるよう提案させていただきました。
この提案書が今後の山田様のライフプランニングに活用できるものであると確信しております。また今後とも、山田様が私どもにご相談していただけるようでしたら、親身に、且つより細かくアドバイスをさせていただきたいと思っております。